ずっと変わらない想いで、
必要な変化を重ねていく。
強さの秘訣は、味と笑顔のチームワーク。
熟練の手の感覚と柚子胡椒が効く酢味噌で
際立つ美味しさ!非日常のグルメ体験を
祐徳稲荷神社へと続く参道沿いの門前商店街にあり、たくさんの参拝客から親しまれる「三都屋」。明治時代の初期に参拝客が泊まる宿として生まれ、現在は食堂・土産屋として人気です。

食堂では定食・丼物・ちゃんぽんなど様々なメニューを楽しめますが、今回の注目グルメは「鯉の洗い」!提携先から仕入れた鯉を、庭にある池で3日ほど泳がせてアク抜きをした後、捌いた身を湯引きして臭みを除き、美味しさが際立つ弾力のある食感へ仕上げます。

「ここに嫁いでくるまでは、鯉料理が少し苦手だったのですが、思いきって食べてみて驚きました。臭みがなく、本当に美味しくて。やはり水がキレイというのもあると思います」と語るのは、3代目を継ぐ鈴田和幸(すずたかずゆき)さんをサポートしながら一緒に歩んできた妻のヨシ子さん。
捌いた身を湯にくぐらせて氷水で冷やして身を引き締める湯引きは、20〜30分近くの時間を要する工程で、湯加減の調整が非常に難しいとのこと。マニュアルがあればできるというものではなく、その調整次第で弾力に違いが出るため、ベストな湯加減にたどり着ける“熟練の手の感覚”が必要不可欠。和幸さんだからこそできる技で、特別な美味しさを引き出していきます。


「三都屋」の鯉の洗いは、醤油ではなく酢味噌で味わいます。この酢味噌もこだわりのもので、自家製の柚子胡椒が隠し味。柚子胡椒は、青唐辛子・柚子の皮・塩・微量の砂糖を用いた秘伝の調合で、添加物は一切なし。お刺身・汁物・鍋・うどん・揚げ物など、どんなお料理にも合うため、お土産としても大人気で、全国からお取り寄せの依頼があるほどリピーターの方が多い逸品です。
そんな柚子胡椒が効いた特製の酢味噌で、鯉の洗いを堪能するひととき。他の素材では体感できないようなコリコリとした絶妙な弾力に、みずみずしい上質な風味。淡白でありながらも、ほのかな甘みがふんわりと。まさに非日常のグルメ体験で、心身ともにじんわりと満たされていくのが感じられます。


席数半減の決断を経て、
より理想的なおもてなしを実現。
以前は宿だったということもあり、食堂の中は1階と2階でそれぞれ100席ずつ確保された大空間。畳の上にテーブルと椅子が並べられているところが特徴的ですが、実は座敷スタイルから変更したことで、席数が半分(!)になったそうです。
「お客様から椅子に座らないと辛いというお声をいただくことが増えていたので、席数は半分になりますが、思いきってテーブルと椅子に切り替えました。テーブルの方が配膳のしやすさもありますし、座敷のときのように座ったり立ったりすることもなくなり、私たちスタッフにとっての働きやすさにもつながっています」と語るヨシ子さん。「席数が減った分、コミュニケーションをもっと濃く、おもてなしをもっと濃く」という言葉も印象的でした。

門前商店街ならではの経験も、思い出深く。
数十年間ともに歩むチームで、今日も一歩。
結婚と同時にお店に入り、和幸さんとともに50年以上にわたって切り盛りを続けてきたヨシ子さん。働きはじめた頃はすでに宿ではなく食堂でしたが、とてもハードな年始期間の経験が鮮明に思い出されるそうです。
「当時は、年始の期間限定で夜の臨時列車が運行されていて、JR肥前浜駅からバスでたくさんの方々が参拝に訪れていたんです。それで、店を22時で閉めた後、午前2時から再び開けて、朝の6時まで団体のお客様をお迎えしていたんですね。三都屋をご利用いただけることは本当に嬉しくてありがたいのですが、その営業スタイルが数日間は続くので、かなりハードな思い出です(笑)商店街には同じ頃に嫁いできた方も多くて、皆さん同じ経験をしていらっしゃるから、現在でもそのお話で盛り上がることがありますよ(笑)」と微笑みます。まさに門前商店街のお店ならではのエピソードですね!

一緒に働くスタッフさんたちも、「三都屋」歴30年以上や40年以上の方が多いとのこと。「いつも心がけているのは、笑顔とおもてなし。そしてもちろん、心を込めたお料理をご提供することです。長く働いてくれているスタッフメンバーばかりなので、調理も接客も何でも積極的に取り組んでくれて、とても安心感があってありがたいです」
数年前からは娘さんが切り盛りする場面も増え、心強く頼りになる存在。いずれは娘さんご夫婦へバトンタッチすることも見据えながら、次世代につないでいくための動きが始まっています。

「三都屋」とともに全力で駆け抜けてきたヨシ子さんに、これからプライベートで挑戦してみたいことを尋ねました。
「そうですね・・・1970年の大阪万博のときに琴の演奏がありまして、それがとても素晴らしくて印象に残っているので、いつかお琴をしてみたいです。あとは、夫とゆっくり過ごせる時間が増えたらいいなとは思いますが・・・これはまだまだできそうにないですね(笑)」
歴史ある老舗が数多く軒を連ねる門前商店街で、明治の初期からたくさんの人たちを迎え入れてきた場所。ずっと変わらない想いのもとで、時代とともに必要な変化を重ねながら、これからも大切なものを守り継いでいきます。


| 店名 | 三都屋(みとや) |
| 営業時間・定休日 | 食事:10:00〜14:30 お土産販売:9:00〜17:00 定休日:不定休 |
| 電話番号 | 0954-62-2626 |
| 住所 | 鹿島市古枝1657-1 |
| 備考 | *「鯉の洗い定食」は2名様以上で要予約 |

