今日も暖簾の向こうに、千鶴の湯気が立つ

まちの胃袋を満たす場所
鹿島駅から歩くこと5、6分。国道444号線を渡ると、暖簾の向こうからだしの香りが流れてきます。出迎えてくれるのがお食事処千鶴。看板には、折り鶴があしらわれ、どこか懐かしさを感じます。暖簾をくぐると、昔ながらの大衆食堂を思い出させるテーブルとカウンターが広がります。
お昼時には、作業着姿の常連さん、営業途中のサラリーマンなど、さまざまな人が暖簾をくぐります。食べ終わると「ごちそうさま」と伝え、またそれぞれの日常へ。その背中を、折り鶴の看板が静かに見送っています。

そんな千鶴を支えているのが、変わらぬ味と、時代とともに生まれた新しい味です。
カツ丼やちゃんぽん、うどんに焼き飯、日替わり弁当。たくさんの胃袋を満たしてきたお店です。店主の武田雄次さんは、お店を継ぐ前に他店で修行を重ねました。千鶴の味の基本は豚骨ベース。独特の臭みを抑えるため改良を重ね、今の味にたどり着いています。そして、人気メニューのエビ丼が誕生。天丼ではなく、エビ丼。濃い卵で3尾のエビフライをとじるという、少し贅沢な一杯です。箸を入れた瞬間、衣が出汁を含み、とろりとした卵が流れ出します。ふっくらと炊き上げた白石米がそれを受け止め、口いっぱいに旨みが広がります。

変わらぬ出汁、受け継がれる味
店主の雄次さんに、千鶴の由来を聞くと、「母がね、いろいろ調べて、千鶴って名付けたと聞いてます」と教えてくれました。千鶴は、雄次さんで2代目、雄次さんの母である〇〇さんが始めたお店です。お隣の肥前浜駅近くにある金時食堂で働いていた〇〇さんは、次第にお店を始めたいと思うようになりました。日本で初めての東京オリンピックが開催され、日本中が活気づいていた頃、千鶴もスタートしました。

豚骨ベースの味は、今もなお健在です。ちゃんぽんはもちろん、実は千鶴の豚汁は豚骨ベース。これが、なかなか他では出会えない味です。家庭料理でも親しまれている豚汁ですが、豚骨ベースの味を食べたことがあるでしょうか。不思議なことに、豚骨の臭みはなく、豚の甘味があるマイルドな一品になっています。少し疲れた身体によく沁みわたることでしょう。
また、密かに人気の柚子胡椒も、ご親戚が手づくりしているこだわりのものです。家族の手が加わることで、千鶴の味はより深くなっています。ほんのりとした辛みが、丼や豚汁に小さなアクセントを加えてくれます。

これからも、まちの台所として
これからの展望を雄次さん、留美子さん夫婦に伺うと、「身体が尽きるまでお店をすることね」と笑うお二人。その言葉には覚悟というよりも、自然体のやさしさがにじんでいました。千鶴はいろんな人を迎え入れるお店、ふと思い出して帰ってきたくなる場所です。

今も昔も変わらず、いろんな料理を提供している千鶴。
毎週火曜はカレーの日。少しお得で、少し特別な火曜日。
まちを歩いて、少しお腹がすいたら、ふらりと立ち寄ってみてほしい。
今日も千鶴の暖簾は、変わらず揺れています。その向こうで、湯気が立ちのぼる。


| 店名 | お食事処 千鶴 |
| 営業時間・定休日 | 12:00〜14:30 17:30〜21:00 (Lo 20:30) 定休日:日曜・祝祭日 |
| 電話番号 | 0954-63-4021 |
| 住所 | 佐賀県鹿島市高津原4317-11 |
| 備考 |

