鈴山農園

百姓から百商、そして“百笑”へ。
地域と農業の未来のため、
人材も育てていく。

目次

継いだきっかけは、反抗心。
こだわりの米づくりを追求

「農業を継ぐことを父親から反対されたので、むしろ継ごう!と思いました。反抗ですね(笑)」と少し照れくさそうに笑うのは、鈴山農園8代目の鈴山隆広さん。農業大学を卒業後、なんとアメリカへ農業留学。農業について学び様々な知識と経験を身につけて帰国後、鈴山農園での活動を始めました。

「農業は難しいぞと父親に言われました。農業の厳しさをたくさん教えてもらいましたね。でも私としては、何としてもやってやるぞ!という気持ち(笑)。バイトしながらでも、とにかく諦めませんでした」と語ります。その後、奮闘を続けた鈴山さんが農園を継いだのが27歳のとき。お父様の存在の大きさを痛感されたそうです。

鈴山さんが取り組むのは、減化学肥料・減農薬で美味しく安心安全なお米づくり。堆肥や稲麦わらを活用して土づくりを行い、除草剤を減らすために米ぬかを散布するなどの実践を重ね、こだわりの米づくりを追求しています。経営が厳しい時期もありましたが、鈴山農園のお米が福岡の飲食チェーンで採用されたことを機に軌道にのり、育てる農作物の種類を増やしたり、農園の面積を広げたりして成長を続けてきました。

そして2020年、新たな展開が幕を開けます。

廃校を活用し、農業体験も
できる「あぐりぶ」をスタート。

鹿島市の能古見地区浅浦に位置し、鈴山さんの卒業校でもある能古見小学校浅浦分校が、2016年に廃校。しかし、浅浦分校を残したい!という声も多く、鈴山さんに相談がありました。

 そこで鈴山さんが地域の交流拠点として2020年に立ち上げたのが、「あぐりぶ」です。「農業と共に生きていく」がテーマで、農業体験ができる農業との出会いの場であり、学校という空間を活かしてリノベーションされたスペースでカフェ営業や雑貨販売も行われています。

 「農業体験は未経験の方でも大丈夫です。大切なのは、育てているものをどれだけ想えるかということ」と鈴山さん。大きな愛情のもと、新たな挑戦が続いていきます。

人材の育成とともに、
農業で生活できる環境づくりを。

鈴山農園では、お米に加えて麦や10種類以上の野菜が育てられています。また、籾摺り(もみすり)の設備を整えているため、他の米農家の方から依頼があれば籾を預かり、非常に大変な籾の乾燥と籾摺りの工程を委託で担うこともされています。鈴山さんの今後の課題であり目標は、「人を育てていくこと」と「安心して農家を目指せるよう、農業で生活できる環境づくり」とのこと。平坦地とは異なり、田んぼに水を入れるのにも一苦労するなど中山間部ならではの難しさもあり、中山間部での農業に携わる後継者探しは特に困難なのが現状です。

 「まずは兼業農家から始めてみるという方法もあります。農業への強い気持ちさえあれば、できる限りサポートしていきたいです」と語ります。「人が口にするものを育てるというのは、生命を預かっているということ。人と環境に良いものを育てなければならない。減農薬で安定供給と安定価格を維持していくことは使命だと考えています。常に“百笑”でありたい」つくる人が笑顔、食べる人が笑顔、その環境をもたらしてくれる自然も笑顔。百姓から百商、そして“百笑”へ。鈴山さんの挑戦は続いていきます。

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